『にんげんぎらい』/大西智子 の読了記 前編
ふと仕事帰りに寄った図書館で借りた大西智子さんの『にんげんぎらい』を借りました。
正直、初めてお目にかかる著者でした。借りたポイントは圧倒的なタイトルの破壊力に惹かれて借りました。
人間嫌い。「人間」「嫌い」この2つの名詞と動詞は世の中を生きる中で幾多も関わるものでありますよね。
今回は著:大西智子さんの「にんげんぎらい」についての読了記を書こうと思います。
まず大まかな登場人物から
主人公の南まり江:年齢は36歳でATMのパーツを製造している町工場でパートとして働いており、一児の母。
保育園のままサークルを何より煙たがる。東大阪出身
まり江の娘の咲季:保育園に通っている。パート後まり江が自転車で迎えに来る。
作中で「自分の娘がこんなにも愛らしいことに、いつも驚きを持って見つめる」と謳うくらい溺愛していることがわかる。
まり江の旦那:名前は作中には記されてはいない。ある日ふと家を出て行った。以後音信不通に。
小川さん:まり江と同じ工場で働く最古参の従業員であり班長。作業中にも関わらず会話が止まらないところ、プライベートト な話にもズカズカと入ってくる所から作中でもまり江は「嫌い」と何度も吐露している。
ボスママ:咲季が通う保育園のボスママ。グループラインを頻繁に運営している。
梓:同じ保育園に通うルージュの母親。まり江と同じように保育園のグループ感を煙たがる。
〜〜それではざっくりとした内容を話していきます。
まり江は週5でパートして工場で勤務する一児の母。工場での仕事にはやりがいのどは感じておらず、「自分が曲げている鉄板がどの用途で使われているか皆目検討もつかない、詳しく説明を受けた気もするが、詳しく理解できなかったし忘れてしまった」と言うほど。あくまでも娘の為に
働いていると言っても良いだろう。時給は高いがその分仕事は重労働なのかパートの従業員の人の出入りが激しくすぐに辞めては、入ってくるの繰り返しのようだ。しかしまり江は小川さんに次ぐ二番目の古株。1人でコツコツ作業するのが好きなまり江もいつでも辞めてやると毎日思いつつ4年が経った。まり江の工場でのストレスが小川さんおしゃべりだ。小川さんはプライベートの領域にズカズカ介入してくるタイプで同じ従業員の在日コリアンの方がいる中でも「チョーセン」など差別的発言をしてしまう少しデリカシーに欠ける所も見受けられました。
まり江は何よりも黙々と作業をしたいタイプだと考察できたので作業中のおしゃべりや土足でプライベートに入ってくるところがかなり気に触る所があったのでしょう。まり江は小川さんのことを」「悪い人ではない、と思う。だがとにかく嫌いだ。小川さんが嫌いだ」と言っています。
ここの「悪い人ではない」ここのワードはのちの伏線回収となるかとても気になって読んでました。
夫は数ヶ月前に、家を出て行った。しかし理由はわからない。まり江は咲季を寝かしてけた後、発泡酒を片手にアダルトサイトを閲覧する。
自慰行為に耽る自分が、リビングの片隅に設置されたウェブカメラに映る様に、この映像を、夫がどこからか見ているかもしれないと思いながら
毎日を過ごすのであった。
まあこんなんは、気休めやけどな。ないよりあった方がええやろ
ある日、義母が家を訪ねてきた。
いやいや家に招き入れてまり江に告げる。
「難波であの子おったらしいわ」
義母から夫の所在地が告げられる。